なるには難易度 | ある程度の容姿、年齢条件、身長制限などがあり、誰にでもなれるものではない。 京都特有、舞妓特有のしきたりもあり、舞妓として働き続けるにもそれなりの根性が必要。 |
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年齢制限 | 中学卒業前後、15歳前後が望ましい。 舞妓になるには、成人前の人生の早い時期での決断が求められる。 |
学歴 | 必要なし。 |
収入状況 | 給料は出ないが、衣食住に関しては置屋さんがすべて面倒を見てくれる。 収入としてはご祝儀が貰える程度。 |
舞妓とは
全国各地の花柳界が廃れていく中、京都の存在感は別格。
京都には5つの花街(祇園甲部・宮川町・先斗町・上七軒・祇園東)があり、舞妓さんの数は90人(2009年)。
舞妓とは芸妓になる見習いの修行期間のことをいいます。
また、関東では舞妓さんは、「半玉(はんぎょく)」や「雛妓(おしゃく)」と呼ばれています。
一見さんお断りの制度
京都のお座敷は基本的に「一見さんお断り」となっており、そのお茶屋さんのお客からの紹介がなければお座敷遊びをすることはできません。
お客の支払いは月末に一括で支払うシステムになっているため、それなりの金額になった時でも支払いが問題にならないような企業の重役やお医者さんなどステータスのある人が客層の中心になります。
もし、お客の支払いが滞った場合は、紹介した人がその人の代わりにお代を支払う制度になっています。
そのため、紹介する時は下手な人を紹介するわけにいかず、結果として、信頼できる・信頼される人のみが関係を持つことになり、紹介制度が成り立っています。
ただ、時代の流れか、最近は「一見さんお断り」制度もゆるやかになり、一般の人でも舞妓さんと触れあえる機会が多くなってきています。
○芸妓(げいこ)
舞妓さんを20歳前後で卒業すると、芸妓さんになります。
舞妓同様、宴の席でお客さんをもてなします。
○年季
仕込みから舞妓の修行期間中に、置屋が支払った費用を返済する期間。
借金というわけではありません。
期間にして大体5年くらい。舞妓さんにその間のお給料はなく、お小遣いをもらう程度。
この期間の終わりを「年季が明ける」という。
仕事内容について
舞妓の仕事は、宴の席で舞を踊ったり、話をしたりとお客さんのおもてなしをすることです。
「野球拳」や「金比羅舟舟」はお座敷遊びとして有名です。
また、宴会のない時には踊りや三味線の稽古をしたりと忙しい日々を過ごします。
その他には、テレビ出演やパーティーに参加したり、時には外国のVIPのおもてなしをすることもあります。
舞妓の1日
8時頃に起床して、身支度を整えてお稽古に向かいます。
朝は稽古、夜はお座敷が基本となるため、毎日の起床時間自体はそれほど早くはありません。
午前中のお稽古を終えた後は、置屋に戻り昼食をとります。
昼食後は、昼からのお稽古がある時はお稽古をします。
それ以外ではお世話になっているお茶屋さんやおねえさんに「ご挨拶回り」に出かける事もあります。
15時頃からは夜のお座敷の準備にとりかかります。
厚いお化粧や着物の着付けには約1時間程度かかるそうです。
18時頃から、お客さんの待つお座敷へと向かい、遊びや舞を披露するなどして宴席を盛り上げます。
24時頃にお座敷を終えて、置屋へ向かい、1日の仕事は終了です。
帰宅後は着替えや化粧を落とし、入浴などをしていると、就寝時間は大体深夜2時くらいになります。
そこから翌朝の8時に起床して、また1日のスタートが始まります。
舞妓の休日
公休日として、一月に2回ほどの休日と年末年始に長期間の休日が数日、設けられています。
月に2回しか休みがないうえに、それ以外は朝から深夜まで稽古とお座敷の連続となるため、体力的に弱い人には舞妓を続ける事は難しいといいます。
舞妓の恋愛
基本的には御法度です。
そもそも、舞妓さんにはお休み自体が少なく、プライベートで男性と触れあえる機会はそう多くはありません。
しかしながら、舞妓も人の子ですから恋に落ちることもあります。
完全に恋愛がダメというわけではなく、舞妓さん・置屋さんとの関係が良好な男性の場合はうまく成就する事もあるようです。
「舞妓」と「水揚げ」と「旦那」
昔は、舞妓が「旦那」(富豪・お金持ちがなる)とよばれるスポンサーを持つ「水揚げ」という制度がありました。
「旦那」は舞妓の着物や生活費の世話をし、置屋に多額のお金を支払い、その代わりに、その舞妓の男になるというものです。
関係を強要されるような怖い話ですが、現在では、そのような「水揚げ」の儀式はなくなっています。
舞妓のスポンサーになる「旦那」に関しては、わずかながら現在も存在していますが、仮に、旦那としてのオファーが来たとしても、舞妓さんが乗り気でなければ断わることができるそうです。
戦前は「身売り」(借金の代わりに、人身売買のようなもの)として、舞妓になる人もいたようですが、現在ではそのようなことはありません。
中学卒業
仕込み
(半年~1年程度)
見習い
(1ヶ月程度)
舞妓
舞妓になるには
舞妓になるにはまず、お世話になる置屋さんを探す必要があります。
※置屋さんとは舞妓さんが所属しているお店のこと。芸妓さんや舞妓さんの家となる場所で置屋に住み込んで生活します。
置屋さんを探すには、置屋さんやお茶屋さんとつながりのある人に紹介して貰うのが一番ですが、そのような人との縁が無い人は舞妓さんを募集している置屋さん(HP)や、5花街の各組合に問い合わせると良いでしょう。
置屋さんにも採用できる人数枠があり、余裕がないと採用して貰えません。
近年は舞妓人気が高く、希望者が増加傾向にあるそうです。
面接
うまく事が進めば、置屋さんで保護者同伴で面接をしてもらえます。
女将は面接時に厳しい修行に耐えられるかどうかを、親と子の関係も含めてしっかりと見ているそうです。
根性がない、向いてないと判断されれば、採用はされません。
その後、舞妓としての適性が認められれば、採用となり舞妓さんとしての第1歩がはじまります。
置屋が見つかれば
お世話になる置屋が見つかれば、舞妓になる前の修行である「仕込み」(半年~1年程)があります。
「仕込み」の年齢は、中学卒業前後の年齢が望ましく、高校を卒業するくらいだと舞妓になるには厳しくなります。
京都から離れているところに住んでいる場合は、近くの中学校に転校して通学しながら修行する人もいます。
仕込み期間
「仕込み」期間には、踊りの稽古はもちろんのこと、京言葉や花街のしきたり、行儀作法など舞妓として必要ないろはを学びます。
お姉さん方のお世話や置屋の手伝いなど、自身の勉強以外にも多くの仕事があります。
仕込み期間から置屋に住み込み、女将さん(おかあさん)や先輩の舞妓さん(おねえさん)と24時間生活を共にします。
一人前の舞妓になれるように、日々の生活を通して、生活態度を厳しくチェックされるため、常に緊張の連続だといいます。
自由な時間もほとんど無く、なかなか大変な生活だとか。
ちなみに、「仕込み」期間中に舞妓希望者の半数は辞めてしまうそうです。
仕込み期間の終了後
無事に「仕込み」の期間が終われば、少しの「見習いさん(舞妓さんの見習い)」期間を経て、晴れて舞妓さんとして、さまざまな舞台で活躍することになります。
舞妓になると「年季」のある5年程度は基本的に辞めることはできません。
舞妓のその後
15歳位からはじめて、20歳前後で舞妓さんは卒業となりますが、その後は、そのまま花街に残り、芸妓として活躍する人、地元に帰る人、専門学校や大学に進学する人、別の仕事をする人、結婚をする人などさまざまです。
建前では芸妓の見習いが舞妓であるわけですが、芸妓にならずに別の人生を歩む人も多いそうです。
厳しい修行に耐え、舞妓として一人前になったとしても20歳前後で選択の時が来ます。
例え、舞妓という素晴らしい経歴があったとしても、一般社会に出れば肩書きは中卒で無資格の女性でしかありません。
どんな進路を選ぶにしても、しっかりと将来のことを考えて検討したいものです。
置屋での生活は厳しい
置屋ではほとんど女性だけの生活になりますが、日々の生活の中で、おかあさん・おねえさんに言われたことは絶対です。
上下関係は厳しく、どんな理不尽な状況でも口答えはできません。
舞妓さんの世界は人間関係、生活、しつけ、しきたりなど全てが厳しく、相撲部屋や軍隊に近いという人もいます。
女性特有の妬みや嫉妬といった悩みもあるとかないとか・・。
舞妓関係リンクと採用条件の概要
・よし冨美
・川久
・たけもと
・しげ森
・梅乃
・おおきに財団
・駒屋
・市
・東山女子学園
・上七軒歌舞会
・舛之矢
・祇園東歌舞会
・さくら
・まん
--基本的な条件--
・年齢は13歳から16歳であること。
・身長は160㎝より高くないこと。
・太りすぎでないこと。
・親と一緒に面接に来れること。親の承諾があること。
・ある程度、容姿端麗である。
・厳しいしきたり・修行に耐えられる忍耐力があること。
・未婚である。
・女子である。
--川久さんの必要条件--
・身体が丈夫なこと。(舞妓さんはハードワーク)
・保護者が同意してくれること。(未成年なので、親もしくは保護者の方の了解は必ず必要です。家出してきてもダメ。
)
・中学校卒業又は中学生の方。(13歳~16歳の方、18才まで日本舞踊ができる人は、相談してみてください。)
・身長165センチくらいまで。(髪形とおこぼで15㎝は大きくなるので、たぶんこれぐらいが上限ではないかと・・ )
--おおきに財団での条件--
・中学卒業から17歳まで(15歳が最適)
・体力と体重は43㎏以上
など。
収入について
基本的に舞妓さんに給料が支給される事はありません。
その代わりに舞妓さんの衣・食・住に関わる必要なものはすべて置屋さんが面倒をみます。
「給与が0円」という一般的には理解しがたい状況ですが、それらを超越したところに舞妓さんは存在しています。
もちろん全くの0円では生活に支障が出てしまうため、置屋さんからのお小遣いやお座敷でのご祝儀をもらう事はあります。
艶やかな着物姿から良い生活を想像してしまいがちですが、収入的なメリットはほとんど無いに等しく、金銭的に大きなものが期待できる職業ではありません。
収入以外のメリット
収入に関しては多くは期待できないのが現実ですが、舞妓さんには金銭以外の大きなメリットがあります。
それは、日本のトップ層が「お客さん」だという事。
出会うお客さんのクオリティはピカイチでほとんどの人が有名人や成功者です。
※紹介制度があるため、変な人は客として入ってこられない。
そのため、話をしていても面白かったり、ためになる話であったりと、普通の生活をしている女性では、絶対にできない経験を毎日する事ができます。
舞妓を卒業するのは20歳前後ですが、芸姑になるにしても、花街とは関係のない生活を送るにしても、人生の経験値が圧倒的に高くなるため、その後は豊かな人生を送る人が多いといいます。