なるには難易度 | 警察官になるには公務員採用試験に合格する必要がある。 公務員試験は基本的に難易度の高い試験だが、警察官採用試験は他の公務員試験に比べると若干容易に設定されている。 |
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年齢制限 | おおむね30歳未満の制限があるが、都道府県によってはそれ以上の年齢でも受験が可能なところもある。 |
学歴 | 特に必要とはされない。 |
収入状況 | 警察官の平均年収は700万円~800万円程度。 |
警察官とは
警察官とは国や地域の治安を守り、人々の暮らしの安全を支えるために治安維持を目的として職務を遂行する公務員です。
◇首都の警察組織であるため、東京都の警察は特別に警視庁と呼ばれています。
◇体力が必要な職業柄、警察官は男性の割合が高くなっていますが、近年は女性警察官も増加しています。
◇殉職した場合は2階級特進になります。(業務中に死亡するとその時点の階級から2階級あがる。これにより名誉が得られたり、遺族に対する様々な補償の金額が増える。)
仕事内容について
警察官は国や地域の治安を維持するために、実に幅広い業務を行っています。
警察官の係は400以上存在し、多彩な分野のスペシャリストがそれぞれ協力し合い、日々の業務を行っています。
【地域警察】
一般の人にとって最も身近な存在の警察官。
交番に勤務し、パトロールを行い地域の安全と治安を守ります。
警察学校を卒業後に最初に配属される事が多い。
地道な活動を通じて警察官としての基礎力が養成されます。
【交通警察】
違法運転者の取り締まりを行ったり、交通ルールの指導などを行います。
安心して道路を行き来できる交通社会の実現を目指します。
【刑事警察】
事件が発生した際に現場検証をしたり、目撃者などから聞き込み調査を行い事件解決のための捜査を行います。
「知能犯」や「強盗」など発生した事件の種類によって担当するセクションが分けられています。
その他にも警備警察(SPとして要人警備、皇族の警備など)や生活安全警察(薬物対策や悪徳商法の捜査など)など多種多様な職務があります。
どの職務に就くにしても、国民が安全で安心して生活できる環境の維持・継続のための仕事を行います。
警察官の勤務状況
警察官には主に3つの勤務形態があります。
週休二日制が採用され、一週間の勤務時間は38時間45分。
-通常勤務-
月曜日から金曜日までの午前8時30分から午後5時15分までの勤務
-毎日制勤務-
日曜日から土曜日までのうちの5日間で午前8時30分から午後5時15分までの勤務
-交代制勤務-
当番、非番、日勤をサイクルとする3交代制勤務
*当番勤務とは午前8時30分から翌日の午前8時30分までの勤務。休憩は8時間。
なり方1
(一般の警察官)
各都道府県が独自に行う警察官採用試験を受験
(地方公務員・各都道府県警に採用となる)
合格
警察官
なり方2
(幹部候補の警察官)
国家公務員試験採用総合職試験・一般職試験を受験
(国家公務員・警察庁に採用となる)
合格
警察官
警察官になるには
警察官になるには主に2つのルートがあります。
1.各都道府県が独自に行う警察官採用試験を受験し、警察官になるルート。
2.国家公務員試験である国家公務員試験採用総合職試験・一般職試験を受験し、警察官になるルート。
警察官のなり方1(一般の警察官)
1のルートの説明ですが、普段、町でふれあう機会の多い警察官はほとんどがこのルート経由。
つまり、一般の都道府県採用の警察官です。
各都道府県が独自に行う警察官採用試験を受験し、試験に合格すれば警察官になることができます。
受験資格など試験の要件は各都道府県によって異なりますが、おおむね30歳程度の年齢制限が設定されています。
職務遂行には体力が必要になってくるため、身長や体重、視力に制限がありますが、それほど厳しい制限ではないため、ほとんどの人には問題ありません。
採用は、大学卒業レベルと高校卒業レベルの2つに分けられ募集が行われています。
【大阪府警の場合】
◇警察官A(大学卒業または見込みの者、大学卒業者と同等の資格があると認められる者)
◇警察官B(その他)
【警視庁の場合】
◇1類(大学卒業または見込みの者、大学卒業程度の学力を有する者)
◇2類(短期大学卒業または見込み者、短期大学卒業程度の学力を有する者)
◇3類(高校卒業または卒業見込みの者、高校卒業程度の学力を有する者)
警察官採用試験は他の公務員試験に比べると、比較的容易なので採用はされやすい。
(簡単に合格できるわけではなく、あくまで他の公務員試験と比べての話)。
警察官のなり方2(幹部候補・国家公務員試験経由)
そして、2つめの警察官になるルートですが、こちらは国が実施する国家公務員試験採用総合職試験・一般職試験を受験して、合格すれば警察官になることができます。
国家公務員試験からの採用は警察庁の採用となり、警察の幹部候補として活躍します。
警察官の採用には地方公務員採用と国家公務員採用の2種類がありますが、出世していくのは国家公務員採用の警察官。
警察組織の幹部ポストに就いている人は、国家公務員採用総合職試験(旧国家Ⅰ種試験)の人がほとんど。
歴代の警察庁長官(警察のトップ)はほぼ全ての人が東京大学出身です。
※その他では京都大学・東北大学が各1人づつ。
警察庁長官を目指すなら、東京大学など名門校に進学し、総合職試験の合格を目指そう。
受験資格
【受験資格(警視庁の場合)】
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-1類(大学卒業程度)-
・30歳未満で大学を卒業又は、翌年の3月までに卒業見込みの者。
・21歳以上30歳未満で大学卒業程度の学力を有する人。
-2類(短大卒業程度)-
・30歳未満で短期大学を卒業又は、翌年の3月までに卒業見込みの者
・19歳以上30歳未満で短期大学卒業程度の学力を有する人
-3類(高校卒業程度)-
・30歳未満で高校を卒業又は、翌年の3月までに卒業見込みの者
・17歳以上30歳未満で高校卒業程度の学力を有する人
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【身体要件】
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-身長-
・男子はおおむね160cm以上
・女子はおおむね154cm以上であること
-体重-
・男子は48㎏以上
・女子は45㎏以上
-視力-
裸眼視力が両眼とも0.6以上であること。ただしこれに満たない場合は、裸眼視力がおおむね各0.1以上であって、矯正視力が各1.0以上であること。
その他、色覚、聴力、疾患、その他の運動機能については警察官としての職務の執行に支障がないこと。
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警察官になる事ができない人
まず、日本国籍のない人は警察官になることはできません。
他国に情報が漏洩するおそれがあるため、国家の治安を担う警察官に他国籍者は雇用できないのです。
それ以外では
・犯罪を起こして執行猶予中の人
・甚大な犯罪を犯した人
・カルト宗教などの信仰者
・暴力団関係者が近親にいる人
等が挙げられます。
採用時には身辺調査が行われるため、ふさわしくないと判断されればテストの成績が良好であっても採用されることはありません。
警察官として採用後は
警察官として採用された後は警察学校で6ヶ月(大卒相当)or10ヶ月(高卒相当)の研修があります。
卒業後は、各警察署に配置され、実際に勤務しながら研修を行います。
その後は本人の希望や能力、適正などが考慮され、様々な分野の仕事に就きます。
警察官の初任給
初任給は目安として20万円前後で一般的な水準と特に差はありません。
【警視庁(東京都)】
◇大卒:約24万円
◇短大卒:約22万円
◇高卒:約20万円
【大阪府警】
◇大学院卒:221000円(245310円)
◇大学卒:205400円(227994円)
◇短大卒:187800円(208458円)
◇高校・専門・高専卒:173000円(192030円)
※()は地域手当を含む。2019年。
警察官の年収・収入・ボーナス・賞与について
年 | 年齢 | 平均給与 | 諸手当 | 月額給与 | 賞与 | 年収 |
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2017年 | 38.4歳 | 32万446円 | 13万5897円 | 45万6343円 | 158万2099円 | 705万8215円 |
2016年 | 38.5歳 | 32万757円 | 13万8846円 | 45万9603円 | 154万6538円 | 706万1774円 |
2015年 | 38.6歳 | 32万1121円 | 13万7673円 | 45万8794円 | 150万6809円 | 701万2337円 |
2014年 | 38.8歳 | 32万1974円 | 14万1386円 | 46万3360円 | 146万8919円 | 702万9239円 |
2013年 | 39.0歳 | 32万810円 | 14万939円 | 46万1749円 | 126万9713円 | 681万701円 |
2012年 | 39.3歳 | 32万2203円 | 14万658円 | 46万2861円 | 127万5787円 | 683万119円 |
2011年 | 39.4歳 | 32万4966円 | 15万2745円 | 47万7711円 | 142万8174円 | 716万706円 |
2010年 | 39.7歳 | 32万5926円 | 14万3157円 | 46万9083円 | 143万639円 | 705万9635円 |
2009年 | 40.0歳 | 33万43円 | 14万4541円 | 47万4584円 | 152万394円 | 721万5402円 |
2008年 | 40.3歳 | 33万8245円 | 14万5308円 | 48万3553円 | 168万4067円 | 748万6703円 |
2007年 | 40.7歳 | 34万4824円 | 14万8223円 | 49万3047円 | 171万1431円 | 762万7995円 |
警察官の給与は、他の地方公務員に比べて10%程度高めに設定されています。
夜勤もあり、勤務時間も不規則、危険な犯罪者を相手にするわけですから、それらを考慮すると給与の設定が高いのもうなずけます。
警察官の平均年収は700万円~800万円程度とそれなりの高収入に規定されています。
※総務省発表データより参照
警察官の年齢別年収・ボーナス推移
年齢 | 給与 | ボーナス | 年収 |
---|---|---|---|
22歳 | 24万8539円 | 109万3571円 | 407万6041円 |
23歳 | 25万9937円 | 114万3724円 | 426万2972円 |
24歳 | 27万1335円 | 119万3876円 | 444万9903円 |
25歳 | 28万2733円 | 124万4028円 | 463万6833円 |
26歳 | 29万3556円 | 129万1651円 | 481万4335円 |
27歳 | 30万3805円 | 133万6744円 | 498万2409円 |
28歳 | 31万4054円 | 138万1836円 | 515万484円 |
29歳 | 32万4302円 | 142万6930円 | 531万8558円 |
30歳 | 33万4883円 | 147万3485円 | 549万2084円 |
31歳 | 34万5795円 | 152万1503円 | 567万1060円 |
32歳 | 35万6709円 | 156万9522円 | 585万37円 |
33歳 | 36万7622円 | 161万7540円 | 602万9013円 |
34歳 | 37万8968円 | 166万7461円 | 621万5084円 |
35歳 | 39万746円 | 171万9286円 | 640万8248円 |
36歳 | 40万2525円 | 177万1110円 | 660万1413円 |
37歳 | 41万4303円 | 182万2935円 | 679万4578円 |
38歳 | 42万5852円 | 187万3748円 | 698万3972円 |
39歳 | 43万7170円 | 192万3550円 | 716万9597円 |
40歳 | 44万8489円 | 197万3352円 | 735万5222円 |
41歳 | 45万9807円 | 202万3154円 | 754万848円 |
42歳 | 46万9736円 | 206万6840円 | 770万3675円 |
43歳 | 47万8274円 | 210万4408円 | 784万3707円 |
44歳 | 48万6813円 | 214万1978円 | 798万3738円 |
45歳 | 49万5351円 | 217万9547円 | 812万3769円 |
46歳 | 50万2823円 | 221万2424円 | 824万6310円 |
47歳 | 50万9229円 | 224万609円 | 835万1362円 |
48歳 | 51万5634円 | 226万8794円 | 845万6414円 |
49歳 | 52万2040円 | 229万6979円 | 856万1465円 |
50歳 | 52万7349円 | 232万336円 | 864万8527円 |
51歳 | 53万1560円 | 233万8868円 | 871万7599円 |
52歳 | 53万5773円 | 235万7399円 | 878万6672円 |
53歳 | 53万9984円 | 237万5931円 | 885万5744円 |
54歳 | 54万3718円 | 239万2361円 | 891万6983円 |
55歳 | 54万6974円 | 240万6689円 | 897万386円 |
56歳 | 55万231円 | 242万1016円 | 902万3789円 |
57歳 | 55万3487円 | 243万5344円 | 907万7193円 |
58歳 | 55万5115円 | 244万2508円 | 910万3895円 |
59歳 | 55万5115円 | 244万2508円 | 910万3895円 |
生涯賃金:2億7027万7835円 |
地方公務員年収推移データ(総務省発表)より、警察官の年齢別年収推移を算出しました。
昇進など平均水準で経験を積むと以下の様な年収推移となります。
・年収500万円を超えるのは20代後半
・年収600万円は30代前半
・年収700万円は40歳前後
・年収800万円は40代後半
・定年間近で年収900万円
年収の総計は2億7027万円、それに退職金の2000万円を加えると、警察官の生涯賃金は約3億円になります。
警察官で年収1000万円は可能なのか
都道府県毎に基準となる年収の違いがあり一概には言えませんが、都道府県警課長クラスである「警視」などそれなりの階級に就き、退職間際であれば年収は1000万円を超えてきます。
ただし、そこまで出世できるのは全体の中でも一握り。
上記の年齢別年収推移でも、平均的な水準の昇進具合では年収が1000万円を超えることはないようです。
都道府県別の警察官の平均年収一覧
※2017年 総務省発表データより
順位 | 都道府県 | 賞与 | 年収 |
---|---|---|---|
1位 | 東京都 | 180万1700円 | 770万8640円 |
2位 | 大阪府 | 169万7200円 | 768万6280円 |
3位 | 愛知県 | 165万900円 | 739万4592円 |
4位 | 神奈川県 | 166万7500円 | 739万1428円 |
5位 | 千葉県 | 157万4400円 | 723万9204円 |
6位 | 埼玉県 | 156万3200円 | 718万5200円 |
7位 | 京都府 | 167万2600円 | 715万9684円 |
8位 | 滋賀県 | 163万3900円 | 714万7948円 |
9位 | 兵庫県 | 163万5200円 | 701万9900円 |
10位 | 徳島県 | 150万1900円 | 698万7700円 |
11位 | 静岡県 | 158万700円 | 691万9620円 |
12位 | 三重県 | 157万9100円 | 689万5088円 |
13位 | 宮城県 | 155万1400円 | 688万8328円 |
14位 | 岡山県 | 155万5600円 | 686万9716円 |
15位 | 福岡県 | 156万6600円 | 685万9080円 |
16位 | 長崎県 | 153万2000円 | 684万3992円 |
17位 | 岐阜県 | 156万5400円 | 682万7736円 |
18位 | 香川県 | 152万200円 | 682万5532円 |
19位 | 山形県 | 149万9300円 | 680万1524円 |
20位 | 山口県 | 151万9600円 | 677万6164円 |
21位 | 新潟県 | 152万200円 | 675万376円 |
22位 | 広島県 | 154万100円 | 669万8648円 |
23位 | 福島県 | 149万5800円 | 669万8292円 |
24位 | 茨城県 | 149万8400円 | 668万6312円 |
25位 | 奈良県 | 146万7400円 | 668万1748円 |
26位 | 大分県 | 152万1000円 | 666万3792円 |
27位 | 岩手県 | 148万8200円 | 665万108円 |
28位 | 愛媛県 | 152万1100円 | 661万1824円 |
29位 | 富山県 | 150万4200円 | 659万1276円 |
30位 | 群馬県 | 150万7300円 | 658万5664円 |
31位 | 和歌山県 | 149万8300円 | 656万9536円 |
32位 | 北海道 | 150万2000円 | 654万9692円 |
33位 | 島根県 | 137万5500円 | 653万6484円 |
34位 | 福井県 | 149万8100円 | 652万9328円 |
35位 | 山梨県 | 151万5200円 | 650万5412円 |
36位 | 熊本県 | 146万1600円 | 649万6260円 |
37位 | 栃木県 | 149万2600円 | 649万744円 |
38位 | 沖縄県 | 145万2100円 | 646万7500円 |
39位 | 佐賀県 | 146万2900円 | 645万9172円 |
40位 | 宮崎県 | 147万2500円 | 645万7228円 |
41位 | 鳥取県 | 133万2400円 | 645万1528円 |
42位 | 秋田県 | 142万4200円 | 642万4336円 |
43位 | 石川県 | 147万4800円 | 641万9904円 |
44位 | 鹿児島県 | 145万3000円 | 640万5064円 |
45位 | 高知県 | 139万5200円 | 636万2648円 |
46位 | 青森県 | 132万2000円 | 625万4312円 |
47位 | 長野県 | 153万5300円 | 600万728円 |
警察官の都道府県別年収ランキングです。
上位の顔ぶれを見ると全て経済規模に応じた順位になっており、大都市圏ほど平均年収が高くなっています。
この明確な差の理由は地域の状況に応じて支給される地域手当と事件数の多さによる残業代の影響だと考えられます。
警察官の退職金
※地方公務員 都道府県別退職金データより
2017年、警察官の退職金の平均は1872万円。
60歳の定年時の退職金の平均は2250万円でした。
一般の公務員同様に退職金の平均は2000万円程度です。
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