なるには難易度 | 難関の総合職試験(かつては国家Ⅰ種試験)に合格する必要がある。 東京大学や京都大学など名門校の学生がチャレンジする日本でも最難関の公務員試験。 難易度はかなり高い。 |
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年齢制限 | 大学卒業見込みから30歳未満。 |
学歴 | 試験の受験資格に学歴による制限はないが、試験の難易度が高いためトップレベルの大学出身者以外は合格は難しい。 出世に関しても学歴が重要視される傾向にあるため、東京大学をはじめとする名門校に進学したい。 |
収入状況 | 40歳、課長クラスで年収1000万円程度。 退職金などの福利厚生も手厚く、収入面では問題の無い職業。 |
キャリア官僚について
キャリア官僚とは難関の国家公務員採用総合職試験(かつては国家Ⅰ種試験)を受験し、幹部候補生として中央省庁に採用された国家公務員の俗称で、キャリアとも呼ばれます。
キャリアでない公務員はノンキャリアと呼ばれ、一般職試験採用者に対しては、セミキャリアや準キャリアと呼ぶ場合があります。
現状では、日本の高級官僚ポストのほとんどをキャリア組が独占する昇進システムになっています。
キャリア官僚の仕事内容
キャリア官僚は日本の各分野における最重要課題、トップクラスの仕事担当し、ありとあらゆる日本の重要問題に関わります。
例えば、薬害問題から、高速道路の建設、拉致被害者問題まで、国内、海外問わず国に関係する重要問題にはキャリア官僚が縁の下の力持ちとして(もちろん見えるところでも)関わっています。
自分の関わった仕事が、直接日本のためになる仕事であり、やりがいはこれ以上ない水準にあると言っても良いでしょう。
また、要職を任されることの多いキャリア官僚は異動が多く、おおむね2年程度で異動を繰り返します。
キャリア官僚の仕事は激務
一般的な公務員の勤務時間は朝の9時から17時までの8時間労働ですが、省庁に勤務するキャリア官僚にはその常識は通用しません。
勤務する省庁や部署にもよりますが、定時で帰宅できる事はほとんど無いと考えても良いでしょう。
省庁には国民や政治家、企業から絶え間なく問い合わせが入り続けます。
その問い合わせに対応しつつ、企画書を仕上げたり、資料を読み込んだりと仕事が際限なく存在し続けるため、長時間の残業が当たり前の労働環境になっています。
また、一番忙しい国会会期中には、大臣の答弁を仕上げるために翌日の朝まで働く事もあります。
キャリア官僚は有名大学出身者が多く事務処理能力の高い集団ですが、さらにその上に体力面でも相当な強さがないと生き残ってはいけないようです。
出世スピードについて
警察官を例にすると、警察官は以下のように出世していきます。
【巡査】→【巡査部長】→【警部補】→【警部】→【警視】→【警視正】→【警視長】→【警視監】→【警視総監】→【警察庁長官(警察のトップ)】
「都道府県採用の警察官の出世ルート」
採用後は、まずは巡査からスタートします。
その後、警部になるには10年ほどかかります。
※警部の上の警視には40歳以上でないと制度上、出世できない。
「キャリア組の警察官の出世ルート」
採用後はいきなり警部補からスタート。
その後、4年~5年後には警視に昇進します。
大学を卒業し、ストレートにキャリア官僚になった人なら、20代後半には警視に昇進することになります。
都道府県採用の警察官が40歳以上にならないと昇進できない警視に、キャリア組は20代後半に昇進します。
そしてその後も、警視正~と出世していきます。
このように、キャリアとノンキャリアでは出世に対する待遇が大きく異なり、キャリア組は採用直後から要職を任されます。
もちろん、警察庁だけでなく、他の省庁でも同様にキャリア組の昇進が優遇されています。
事務次官レースについて
キャリア官僚として省庁に採用されると、その省庁のトップ(主に事務次官)への出世レースが始まります。
20代で採用後、同期の中で出世を競い合い、50代後半で事務次官が誕生するまで続きます。
同期全員が常に競い合うわけではなく、出世レースに敗れた者から順次「天下り」として早期退職し、民間企業や関連団体に再就職していきます。
最終的に省庁には事務次官になれる人だけが残るシステムになっています。
各省庁にはさまざまな部署がありますが、その中でも重要な部署とそれほどでもない部署があります。
上層部が出世レースの中心と考えている人物は重要なポストへ異動になることが多く、異動の際にどのポストに配置されるかで、自然と自分にどれくらいの評価がなされているのかがわかるようになっています。
そのため、入省後しばらくすれば、命じられた異動状況から自分がどの程度まで出世できるのか、ある程度、将来が見えてしまうそうです。
事務次官の学歴は圧倒的に東京大学が多く、その他では京都大学などの旧帝国大学と呼ばれる名門国立大学がほとんど。
その他の国立大学、私立大学出身者が事務次官になることはあまりありません。
官僚の出世レースを勝ち抜き、事務次官をめざすなら、東京大学への進学をまず第一に考えると良いでしょう。
国家公務員採用総合職試験の採用には行政系と技術系で区別されていますが、技術系の場合、事務次官レースに参加することはあまり無く、技術系の幹部候補として仕事を行います。
主に行政職採用のキャリアが事務次官になります。
国家公務員採用総合職試験を受験
合格
省庁に採用される
キャリア官僚
キャリア官僚になるには
国家公務員採用総合職試験を受験、合格し、その後省庁に採用されれば、キャリア官僚になることができます。
国家公務員採用総合職試験だけに合格しても駄目で、試験合格後に各省庁で面接を受け、省庁に採用される必要があります。
※官庁訪問
試験の難易度はかなり高く、合格者のほとんどが名門大学出身者です。
受験資格は21歳以上、30歳未満の者と年齢制限のみですが、キャリア官僚には東京大学出身者がかなりの割合を占めています。
進学先は東京大学がベスト。
東京大学以外でも、総合職試験合格者の多い有名大学に進学しておいた方が何かと都合がよいでしょう。
【国家公務員採用総合職試験(2018年)】
1位 東京大学 329人
2位 京都大学 151人
3位 早稲田大学 111人
4位 東北大学 82人
5位 慶應義塾大学 82人
6位 北海道大学 67人
7位 大阪大学 55人
8位 中央大学 50人
9位 神戸大学 48人
10位 岡山大学 45人
収入について
キャリア官僚の収入は公務員の規定に準じて支給されます。
年収では入省時の新人で約350万円。
30代課長補佐で約750万、40歳の課長クラスで約1000万となっています。
金銭的な側面からみれば、民間に比べて特別高給というわけではありません。
ただ、手厚い福利厚生や高額な退職金、退職後に関連企業に天下りをした後の収入や退職金などを考慮すると、収入面では優遇されていると言えるでしょう。
省庁のトップ、事務次官(キャリア官僚の頂点)の年収は約2300万円。
各省庁のトップである事務次官の退職金は5500万円程度。
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